競輪におけるドーピングとは
選手が競技のパフォーマンスを不正に向上させるために禁止された薬物を使用することを指します。
競輪はスピードと持久力が求められる競技であり、ドーピングにより一時的に能力を向上させることができますが、これは競技の公平性を損なうため、厳しく禁止されています。
競輪を含む全てのスポーツでは、世界アンチ・ドーピング機関(WADA)によって定められた禁止薬物リストがあり、これに基づいてドーピングの検査が行われます。競輪選手もこのリストに従って、薬物使用が監視されています。
以下は、競輪選手が使用してはならない代表的なドーピング薬物の種類です。
1. 興奮剤(アナボリックステロイドなど)
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アナボリックステロイドや成長ホルモン(HGH)などは筋肉量や力強さを増加させるために使用されます。これらは短期間でパフォーマンス向上をもたらしますが、体に対する危険性も高いため、厳しく禁止されています。
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アナボリックステロイドは筋肉の成長を促進し、競技者が持久力や瞬発力を向上させるために使われることがありますが、競技の公正さを損ねるため、WADAの禁止薬物リストに含まれています。
2. 興奮剤
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エフェドリンやアンフェタミン、メタンフェタミンなどの興奮剤は、選手の集中力や反応速度を高め、競技中のパフォーマンスを一時的に向上させます。また、これらは疲労感を抑える作用があるため、競技を有利に進めるために使用されることがあります。
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これらの薬物は神経系を刺激し、運動能力の向上を図りますが、健康へのリスクが高いため禁止されています。
3. 利尿剤
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利尿剤(例:フロセミドなど)は、体内の余分な水分を排出させるため、体重を減少させる目的で使用されることがあります。これにより、競技の体重制限をクリアするために利用されることがありますが、ドーピングチェックを逃れるための手段として使用されることもあります。
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また、利尿剤は他の禁止薬物を隠すために使われることがあり、そのためWADAによって禁止されています。
4. 血液ドーピング(エリスロポエチン:EPO)
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エリスロポエチン(EPO)は赤血球を増加させるホルモンで、酸素運搬能力を高め、持久力を向上させます。競輪は持久力も重要な要素であり、EPOの使用は特に有利になる可能性があります。
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血液ドーピングは、血液を自分のものと入れ替える方法(自家輸血)や、EPOを用いて人工的に赤血球を増やす方法が含まれますが、いずれも禁止されています。
5. ステロイドホルモン
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コルチコステロイドや性ホルモン(例えば、テストステロン)なども、競技能力を向上させるために不正に使用されることがあります。これらは筋肉の回復を促進したり、パフォーマンスの向上を図ったりするために使われることがありますが、WADAによって禁止されています。
6. エピネフリン(アドレナリン)
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アドレナリンは、体を興奮状態にし、体力や反応速度を一時的に向上させる効果があります。競技中に瞬発力や反応を高めるために使用されることがあります。
7. カフェイン
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カフェイン自体は広く使用されている物質ですが、一定量を超えるとドーピングと見なされることがあります。カフェインは覚醒作用があり、疲労感を和らげ、注意力や持久力を高める効果があります。
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WADAは一定量を超えるカフェイン使用を禁止しており、過剰な摂取がドーピングに該当することがあります。
8. その他の禁止物質
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麻薬類(例えば、コカインやヘロイン)や、特定の精神安定剤なども禁止薬物に該当します。これらはパフォーマンス向上には直接的に関与しませんが、興奮剤と同様に、選手の精神状態や身体に悪影響を及ぼすため使用が禁止されています。
ドーピング検査と罰則
競輪選手は、競技中にランダムでドーピング検査を受けることがあります。競輪は選手の体力や精神力が試される競技であり、公平な競技環境を守るため、ドーピング違反が発覚した場合は、重い罰則が科せられます。罰則には、出場停止や賞金の剥奪、場合によっては競技生命の終了が含まれます。
競輪をはじめとするスポーツは、クリーンな競技環境を保つため、ドーピングに対する厳格な規定と検査を実施しています。
直近でもS班選手やガールズケイリンの選手がドーピング違反により処分を受けています。

これに伴い2025年3月25日に公益財団法人JKAは競輪界のアンチ・ドーピングへの取り組みとして以下を発表しました。
JKAより発表された競輪界のアンチ・ドーピングへの取り組み
- 選手への啓発
- 検査体制や違反者への制裁強化
- 無作為で抽出し実施していたドーピング検査を今後はG2以上では全開催で行う
- 複数回の違反者に対しては登録消除を含めた厳しい措置を講じる

JKA木戸寛会長は以下のコメントをしています。
このたび、選手からドーピング検査で再び禁止物質が検出されたことは極めて残念であります。
また、このような事態は、お客さま、競輪関係者の皆さまの信頼を失うものであり、心よりおわび申し上げます。速やかに選手への啓発を徹底するとともに、検査体制の強化、違反者への制裁の強化を柱とした実効性のある具体策を講じ、アンチ・ドーピングに全力で取り組んでまいります

一般社団法人日本競輪選手会である安田光義理事長は以下のコメントを発表しています。
本会会員がドーピング検査において再び禁止物質が検出されたことを大変重く受け止めております。
お客さまをはじめ、関係者の皆さまには度重なるご迷惑とご心配をおかけしておりますことを深くお詫び申し上げます。
本会はこのような事案が続いている状況に鑑み、より厳しく対応していくため、前回ドーピング検査で禁止物質が検出された会員に対しては、あっせん規制とは別に6カ月の競輪出場の自粛処分としたところであります。
今後は会員に対しよりいっそう指導を徹底し、再発防止に努めてまいります。

何故全選手で実施しないのか等の意見も出ているわね。

真剣に頑張ってる選手や応援してくれてるファンの為、そして競輪界の為にも厳しく徹底し、公平であってほしいものですね。